今日ご紹介するのは、カリブ風炊き込みごはん。トリニのご飯メニューといえばまず
ピラウが挙がるところだが、もう少し気楽に簡単に作れるのがこの『Bhagi & Ochro Rice』。Bhagiとは、ほうれん草やdasheen leaves(
カラルーに使われる芋系植物の葉っぱ)などの濃いグリーンの葉野菜を指す。おそらくインド系の言葉だろう。Ochroはおなじみのオクラ。
葉っぱだけでもオクラだけでもいいし、また両方いれてしまってもそのへんは自由。必ず入れるのはタマネギやにんにく、チャイブ(万能ネギの一種)などの香味野菜、タイム(ハーブ)、ピメントかスコッチボネット・ペッパー、それからココナツミルク。ココナツミルクでご飯を炊くのはアフリカ由来で、ジャマイカ料理のライス&ピーズ(豆ご飯)などとも共通する、カリブ圏ではごくポピュラーな調理法である。それからダシ代わりというか風味を付けるために、オプションとしてソルトフィッシュ(干しダラ)、もしくは塩漬けのピッグテール(豚のしっぽの部分)などを入れる。これも別に両方入れてもよいのだろうが、個人的にはしょっぱくなる危険性もあるしどちらかにしたほうがよいと思う。それぞれに違った風味が出る。どちらもココナツミルクとよく合う。
ソルトフィッシュの代用品はなかなか思いつかないが、日本なら『すきみたら』の名称で売られているものが最も近いかと思われる。ピッグテールに関しては、ハムのようなものを使えばよいかと思う。またピメントもしくはスコッチボネットに関しては…これは無ければ代用になるものもなくどうにもならないので、ソースに加工されたものを、ジャマイカ食材を扱うショップなど、どこかで見つけるほかないだろう。百歩譲ってハバネロソースを買う手もあるが、辛みがついてしまうのでそのあたりが少し違ってきてしまうかもしれない。ちなみにピメントは辛くないスコッチボネットペッパーと言って差し支えないだろう。あのフルーティな香りはそのままに辛みがまったくないという不思議な唐辛子。スコッチボネットを使う場合には、必ず緑の熟していないものを丸ごと、崩さないように使う。崩れると中身の辛い種の部分が流出してしまうので、そこは注意。
作り方は難しいことは何もない。にんにく、タマネギ、好みでセロリなども加えて炒めたところに、一晩水につけて塩抜きしたソルトフィッシュか、ボイルして塩抜きしたピッグテール、刻んだトマト、タイム、ピメントかスコッチボネットペッパー、オクラ、葉っぱ野菜(今回はdasheenの葉を使用)を投入、さらに米を炒め合わせ、あとはリゾットを炊く要領で、ココナツミルクや水を適宜足しながら炊き上げる。味が物足りないように感じられるなら、水だけでなくスープのもとを使ったり、スープストックを使ってもよいだろう。米は個人の好みになると思うが、筆者は北米ではポピュラーな長粒米の臭いやパサッとした質感が苦手なので、あえて日本で手に入るような短粒のものを使う。ただ、極力、硬めに炊き上げるべきではある。リゾット用の米などを使ってもよいかもしれない。
ココナツミルクで炊き上げ、またソルトフィッシュなどを入れた場合は結構ボリュームも出るので、これだけで一食にしてしまうこともできる。コールスローなどのすこしこってりしたサラダを添えたり、フライドやバーベキューなどのチキン料理などと食すのもありだろう。ただ、冷蔵庫に入れたりするとテクスチャも変わってしまい風味も落ちるので、なるべく一回で食べきる量で作るか、またはどうしても余ってしまったら、作り立てを即冷凍などするほうがよい。出来立てが最高に美味しいので、できれば温め直しや作り置きは避けたい一品。
冷えた
シャンディと一緒に。