本日はトリニダッドのクリスマス料理をご紹介。写真は我が家のメニュー。赤いワインのような飲み物は、ハイビスカスの花を煮出して作るSorrel(ソレル/作り方等は
過去ログ 参照)、お皿の上にはCallaloo(カラルー/
過去ログ参照)、Macaroni Pie(マカロニ・パイ)、ボイルコーン、そしてハムの丸焼きを薄く削いだもの。
下の写真がそのハムの塊で、大きな骨が入っていて人の頭大ぐらいの大きさはあるのだが、これに蜂蜜のソースを塗ったり、スパイスのクローブを突き刺して香りをつけながら、数時間かけてじっくりと焼く。ちょうど、アメリカ人が感謝祭でターキーの塊を焼き(ちなみにトリニダッドには感謝祭を祝う習慣はなく、あれは全世界で北米だけの祝祭)何日もかけて食べるように、このハムも相当に大きいのでちょっとずつナイフで削ぎながら食べていく。
また、芋の一種の葉っぱをココナツミルクで煮込んだカラルーは、特にクリスマス料理というわけではなく通年食されるものだが、毎週日曜日のランチに供される料理であり、人が集まる団欒の場では必ず登場するメニュー。よってクリスマスにも作る家庭が多い。
ソレルも、その口当たりや香りの良さから、現在では瓶詰めや清涼飲料水として出回るほど日常的に飲まれているが、元々はカリブ諸島ではクリスマスと言えばソレル、というクリスマス特有の飲み物だった。あの赤いルビーのような色を見るとクリスマスらしい気分になると語るカリビアンは多い。ソレルは、飲み物の他にジャムにしたり、ラムに浸けてお酒としても飲まれる。
マカロニ・パイは、おろしたチーズと茹でたマカロニ、卵入りクリームソースを型に詰めてオーブンで焼いた、カリブ版マカロニ&チーズのような副菜。クリームソースに卵が入っているので熱が入ると固まってマカロニが層のようになり、さながらケーキもしくはパイのように四角く切り分けて食べることができる。これもクリスマス以外の時期にもよく食されるし、少量でもボリュームがあるのでパーティなどでも人気のあるメニューだ。カラルーの付け合わせとして出されることも多い。料理上手な我々の友人N君によれば、鮭の切り身をほぐしてを入れても美味しいとのことで今度やってみたい。
その他にトリニダッドのクリスマス料理といえば、Ponche de Creme (Poncha Crema ポンチャクレマ)というミルクセーキにラムが入ったようなお酒(要するにトリニ風卵酒)、ショウガ味の飲み物のGinger Beer (ジンジャービア)や、Pastelles(パステル)というバナナの葉にコーンミール、挽き肉、レーズン、オリーブ、ケイパーなどを混ぜた具を包んで蒸したもの、それから、Black Cake(ブラックケーキ)と呼ばれるラム酒たっぷりのフルーツケーキといったものが代表的である。ローストハムの代わりにターキーに詰め物をして焼いたものを食す家庭もある。
上記の中で、Poncha Cremaに関しては、相方曰く『配合は秘伝である』とのことで、筆者はまだ免許皆伝というわけにはいかないようだ。しかも気分が乗らないと作りたくないらしく、我が家では出る年と出ない年がある不思議な飲み物(爆)である。美味しいのだが。ジンジャービアに関しては、筆者はあまり強いショウガ味の食べ物は苦手で、さらにBlack Cakeは、相方が酒好きでないのでラム酒が苦くて嫌だとのこと… といったわけで、上の写真のメニューからはどれも外されている。Pastellesに関しては、一度レストランでテイクアウトして食べた事があるが、ちょうど日本の笹団子かちまきのような雰囲気で、食べてみたら結構味付けが甘くて、ちょっとお菓子のようだったのが意外だった。なかなか美味しかったが、これもまた恐らく家庭によって相当味が違ってくるものだろう。
これらのクリスマスメニューは、言わば日本のおせち料理のような位置づけの伝統食で、家中が総出でたくさんの量を作り、家族や友人と共に食卓を囲んでわいわい食べるというもの。そして音楽はもちろん、この前の記事に書いた
Parangで決まりだ。それでは皆様、メリークリスマス!
下写真:NYはロックフェラー・センターのツリー。