上・文末の写真/マスバンド、Poisonのパレード:
triniscene.comより
先月に行われたトリニダッドのカーニバルは、今年も無事に終了した模様。関連ウェブサイトにて、カリプソ&ソカ・モナーク、ロード・マーチ、パノラマ等、続々と各種コンテストの結果発表、パレードの写真などがアップされているのでご紹介。
トリニ・カーニバルの公式サイトには、各賞の結果一覧が:
National Carnival Commision of Trinidad and Tobago
カリビアン/トリニのコミュニティサイト、Toronto-lime.com内のギャラリーでは、例年通りの華やかなパレードの様子が見られる。写真を眺めているだけでも、熱気が伝わってきそう。一度は参加してみたくなること間違いなし。
Carnival Tuesday (2月28日・カーニバル・テューズデイ/パレード2日目)
Carnival Monday(2月27日・カーニバル・マンデイ/パレード1日目)
Dimanche Gras(ディマンシュグラ/カーニバル前夜祭)
Kiddies Carnival(ちびっこたちの仮装パレード、可愛い!)
また、カリプソに興味をお持ちの方はぜひ、こちらをご覧いただきたい。
Vintage Kaiso Tent(ヴィンテージ・カイソ・テント)
昔ながらのスタイルの正統派のカリプソを堪能できる、カリプソ・テント(カイソ・テント)と呼ばれる特設コンサートホールでのパフォーマンスの様子が見られるのだが、特に注目なのは、何点か動画がアップされていること。このブログでも度々名前が挙がる、現代最高のカリプソニアン、Black Stalinが動いているところ(笑)が見たい方はぜひアクセスを。上で紹介したページにアクセスすると、写真サムネイルの並んでいるページに飛ぶので、その中で一番下の段、真ん中のサムネイルをクリックすると動画が立ち上がる。Stalin、もんのすごく楽しそうです(笑)。他にも何点か、ベテランカリプソニアンたちの動画が隠されている。聴衆との掛け合いも楽しく、まさに伝統的なスタイルのカリプソが展開、トリニダッドのエンタテイメントの真髄を垣間見ることができる。
スティール・パン関係が気になる方ははこちらのサイトを。各人気スティール・バンドの写真がたくさん:
Trinbago Pan
さてさて、特に注目度の高い各種コンテストの結果については、今年は以下のようになっている(モナークとは、キング、チャンピオンといった意)。
Calypso Monarch(カリプソ・モナーク):
Luta (受賞曲:"Check Your Foundation" & "Kaiso, Kaiso")
International Soca Monarch/ Groovy Soca Monarch (インターナショナル・ソカ・モナーク/グルーヴィー・ソカ・モナーク、ダブル受賞):
Shurwayne Winchester (受賞曲:"Can't Wait"& "Don't Stop")
Road March (ロード・マーチ):
Patrice Roberts & Machel Montano (受賞曲:"Band of de Year")
Panorama 2006(パノラマ):
Phase II Pan Groove (受賞曲:"This One is for U bradley")
Band of the Year(バンド・オブ・ザ・イヤー):
Trini Revellers (受賞テーマ:"Rome the Empire")
カリプソ・モナークでは惜しくも、ベテラン&コンシャス派の最右翼である、Chalkdustの連続優勝はならず、第3位という不本意な結果に。ちなみに第2位は、人気女性カリプソニアンのSinging Sandra。しかしながら、David Rudderはじめ、Black Stalin、Calypso Rose、Shadowなど我々の一番好きなカリプソニアン達はみんな、すでに何度もトップを極めたビッグスターであり、カリプソ・モナーク出場からは事実上引退してしまっているので、COSKEL的にはどうも盛り上がらなかったのが実情。
ソカ・モナークと、グルーヴィ・ソカ・モナークのダブル受賞という快挙を果たしたのは、若手トップスターのひとり、Shurwayne Winchester。このうち、グルーヴィのほう(ソカの中でも、メロウでスウィート系の曲が特にエントリーされる)を受賞した、
"Don't Stop"は、このブログではすでにお馴染み、COSKELの撮影に参加してくれたShawn Noel氏率いる音楽プロダクション、"Ma$tamind"による制作。オメデトウなのだ〜。この曲、我々も大好きで、爽やかかつロマンティックな一度聞くと忘れられない佳曲だ。ちなみにソカ・モナークの第2位はBunji Garlin、第3位がIwer Geoge。特にBunjiは、昨年に続いて絶対に今年もタイトルを穫れると自信満々だっただけに、かなり悔しがっていた…という風の噂も。
ロードマーチ、これは今年のカーニバルで一番ホットな曲に送られる称号なのだが、注目曲がひしめく激戦を制したのは、Patrice & Machelによる、
"Band of de Year" だった。わりあい後発気味だったにも関わらず、見事、ラストスパートでトップをかっさらう形に。やはりエンタテイメントの天才、Machelが絡んだことでさすがの盛り上がりチューンに仕上がっており、カーニバルではこの曲で大騒ぎだったことだろう。下馬評では、人気急上昇中のMr. Vybe による
"Ting 4 D Road"(ティンティンティン…♪というフレーズが特徴的で、こちらもかなりのお祭りチューン)が優勢、他にも、大人気の女性シンガー、Destraの熱い一曲
"Max It Up"などが有力候補に挙がっていた。個人的には、我らが女王(Calypso Rose)とShurwayneがデュエットした傑作、
"Tempo 2006"あたりが好みだったのだが。最終結果は、第2位でShurwayneのぶっ飛びソカ・モナーク曲
"Can't Wait" がここでも食い込みを見せ、第3位がまたまたMachel王子の
"Scandal"となった。
スティールバンド(スティール・パンのバンド)の頂上決戦、パノラマでは、トリニの有力バンドのひとつで、Len 'Boogsie' Sharpeという超ベテランアレンジャーを擁する"Phase II"が優勝。昨年、惜しまれつつも亡くなり(享年69歳)、スティールバンド界に衝撃を与えた名アレンジャー、Clive Bradley氏に捧げたパフォーマンスでキレイに着地。第2位はTrinidad All Stars、第3位にStarlift。他にも、Exodus、Despers、Renegadesなどなどお馴染みのトップバンドが集結した例年通りの賑やかさと充実ぶり。COSKELとも親交の深い、世界的に著名なパンニスト、Liam Teague氏がアレンジを手掛けたバンド、Skiffle Bunchの名が上位に挙がっていたのも嬉しい。
バンド・オブ・ザ・イヤー、こちらはその年最高のマス・バンド(仮装団体)を決めるものだが、今年は
Trini Revellersによる、ローマ帝国風味のプレゼンテーションが優勝。あまり筆者は好きでないバンドであったが。個人的に当確と思っていた、古き良き時代のMasをほうふつとさせる芸術的なクリエイションで注目されていた、
Brian Mc Farlaneのバンドが2位に甘んじたのは意外。第3位はMasqueradeというバンド。
これで、トリニ本国では2006年のカーニバルは終わったのだが、実はこれが始まりの合図なのだ。言わば、トリニカーニバルの終了を以って、また怒濤のカーニバル・サーキットに突入したわけである。これから数カ月間、主要なものだけでも、6月のワシントンDC、7月のトロントでのカリバナ、バーベイドスのクロップ・オーバー、8月のロンドンはノッティングヒルと続き、9月のNY・レイバーデイ、そして最後、10月のマイアミまで、世界各地のカリビアン・コミュニティでカーニバルが次々と催されるのである。それに伴って、トリニのカリプソ/ソカ・アーティストたちは巡業に出発、観光客も大移動、文字通り、カーニバルがこれから世界中を駆け巡るわけだ。というわけで、改めて、新年を迎えたようなものである。今年もよろしくお願いします。