先週金曜から、昨日月曜までの全ての日程が終了しました。いやー。今年はキツかった!!というのは、徹底的に悪天候に振り回されっぱなしだったのです。とりあえず、ざっとこの4日間を振り返ってみたいと思います。写真がたくさんあるので、後日、まとめてアップします。
まず、金曜日のソカfete、Brass festからすでにやばいことに。Shawn (Ma$tamind Productions) がステージで演奏するというので衣装を用意していったのですが、会場についたら、風雨ですみずみまで水浸し状態。イベント開始が数時間遅れた時点で、やっとステージ中央に雨避けのテントを急ごしらえしはじめたものの、結局はン百万円する機材が濡れてしまうためステージのセッティングができず、バンドはやむを得ず帰宅。アーティスト達は登場したものの、DJの回すカラオケでパフォーマンス…ブラス・フェストなのに(金管)楽器なしでした。天気予報で、数日前から天気が悪くなると言われていたのにも関わらず、なーんにも準備していなかった主催者側の段取りの悪さに脱力状態。トリニらしいお気楽さが裏目に出まくりでした。
…と書くと、もう、滅茶苦茶ヒドイみたいですが、じつは、これはこれで結構楽しめました。というのは、トリニな観客の皆さんが、延々と待たされている間、雨にも負けず風にも負けず、DJによる穴埋めパフォーマンスに合わせて旗は振りまくる、集団ワインに興じる、パウダーまみれになるで、全開Bacchanalモードに突入。パーティにかけるあの情熱、さすがとしか言いようがありません。Love & Hateというのか、トリニならではの今回の段取りの悪さにこんちきしょうめと思いながらも、結局は彼等への尊敬の念がまた一段と深まりました(爆)。風雨の中、ベイク&シャークやロティ、コーンスープに舌鼓を打ちつつ、ヘネシーやラムのボトルを開けながら(そもそも、入り口でのセキュリティチェックをかわしてどうやって持ち込んだのか全く謎…ロック用の氷まで用意してきていた)、何時間でもLIMEしながら待つ皆様…パーティが絡むと(というか、パーティが絡んだときだけか)あんなにも忍耐強いとは… そして、アーティスト達のパフォーマンスも、的を絞った演奏というか、雨の中、長らく待たせてすまなかった!感の溢れる心のこもったものでした。生バンドの出演がなかったのは残念でしたが、Machel、Shurwayne、Maximusの3組が次々にステージに登場しての、これでもかというヒット曲の応酬にはやはり血が騒ぎました。また、Machelのステージにサプライズ出演されたダンスホールクイーンのJunkoさんにも、偶然、舞台裏でお会いすることができました。結局コンサートが終了したのは、午前4時〜5時ぐらいだったと思います。
さて明くる土曜日。スティールバンドの頂上決戦、パノラマの日です。昨夜、雨に濡れて遅く帰宅した我々、かなり疲れていました。遅く起き出して天気をチェック、今夜は何とか持つかな?と思ったのもつかの間、また雨が降り出してきました。風もどんどんと強まり、またまた台風模様に。またもずぶ濡れは勘弁ということで、外出をキャンセルすることにしました。しばらくして、すでに会場入りしていた友人から電話で連絡が入り、とうとう、パノラマ自体がキャンセルされ、延期になったとのこと。延期にできるとは後にも先にも聞いた事がなかったので驚きましたが、それが次の日、日曜日の午後4時からということで、昨日の段取りの悪さを思うと、この時点ですでに嫌な予感が…
そして日曜日。この日は曇りでした。雨も何とか収まっていて、日中は薄日も感じられる程度。今日は天気のほうは大丈夫だと確信できました。昨日の連絡の通り、午後遅くからパノラマが開始されており、我々的にカーニバル・ウィークエンドのハイライトであるオールドスクールなイベント、Dimanche Grasの開演は午後10時からとのことで、ゆっくりと支度しました。そして、ちょうど夜10時頃に会場入り。この日はバックステージでの観賞です。控え室に向かい、ダンサーのAisha、Shaunや、バック演奏で参加するOrionら、先に到着していた友人たちに挨拶。外に出ると、早速、帝王・Sparrowに出くわしました。その後も、David Rudder, Black Stalin, Scrunter, Baron, Explainerなど、大物カリプソニアンが次々と到着。天気もまずまずだったので、皆、しばしば控え室から出て来て、外で一服していました。しかし、我々の半径数メートル以内に、彼等大スターが勢ぞろいでLIMEしている状況といったら!もう、内心で大興奮です。去年もバックステージにいましたが、今年もやっぱりドキドキしました。さらに、RudderもStalinも、あとScrunterも、ちゃんと我々のことを覚えていてくれました!Stalinは今月誕生日なので、COSKELのStalin Teeの特別バージョン、1点ものを、彼の好きな赤色で作ってプレゼントしたのですが、とても喜んでくれました。去年会ったときに、来年はあなたのTシャツをつくりますよと言っていたので、約束を果たせてよかったです。そして、お洒落なRudderには新作T(パン関係のデザイン)を献上。Scrunterからは逆に、後ほどのステージで投げキスをもらいました(爆)。
が、振り返ってみれば、とにかくまた、主催者側の仕切りの悪さが一段と目立つ夜となってしまいました。予想通り、パノラマに押されてさらに開始が遅れたDimanche Gras、例年通りなら、ダンスパフォーマンスの後、カーニバル・キング&クイーンの選考会が行われて、カリプソのコンサートでお開き、のはずが、かなり順番が入れ替わりました。ただでさえ遅れている予定のため、ダンスの後、知名度のあまりない前座的なカリプソニアンを数人出して、その後すぐ、この日一番の大物かつ高齢であるスパロウに配慮して早々に出演させた後、キング&クイーンのコンテスト、そして最後に残りの有名カリプソニアンたちをまとめて出演させるという、かなり変則的なオーダーに。そして、今日は時計を見ながらパフォーマンスすると誓うスパロウに、そんなわけないだろうと舞台裏で苦笑するRudderやBaron…結局、ご機嫌な帝王スパロウは、堂々と約束を破り去って(爆)メドレーで延々と5曲以上も歌ってしまったのでした。
これでますます後の予定が遅れていった上、パフォーマンスとは関係のない、なんとか協会の会長の挨拶やらが始まり、さらに、政治家かなんかが出て来て、投票しようとか、キャンペーンの呼びかけが始まって、観客の間では、明らかにイライラがつのっていきました。そして、一旦バンドセットを撤収し、何とかキング&クイーンの舞台に漕ぎ着けたと思ったら、ぜんぶのコスチュームを予定通り見せるとのこと。十数組ある上に、ほとんど、装置と呼ぶべき大掛かりな衣装ばかり。入退場だけでもかなりの時間がかかるだけに、座る椅子も満足にないような簡素なバックステージで、ひたすら出番を待たされているカリプソニアンたちには、明らかに不満の表情が見られました。ほんと、コスチュームの披露なんか後回しにすべきでした。だって、次の日もパレードで見られるんですから。我々も、これだけの一流カリプソニアンたちを集めておいて、待ちぼうけさせるとは失礼もいいところじゃないかと憤っていました。本当は、こんな扱いを受けるべき人たちじゃ全くないのですが。実力と音楽界への貢献度から言ったら、シャンペンとリムジンかなんかで、もてなされてしかるべき人たちですよ!トリニの、時にそういう無頓着すぎるズボラなところ、結構頭にきます。自分たちの文化の価値をあんまり分かってないんですね。筆者みたいな外国人のほうが余程カリプソに詳しいとか、そんなんでいいのかよって感じがします。ほんとに。近い将来、COSKELでカリプソのコンサートを開く日が来たら、カリプソニアンは全員、間違いなくVIP待遇にしますからね。ええ。
…さらには、ダメ押しのごとく、観客?の誰かがステージ前方で倒れるというアクシデント発生。救急車を呼ぶとかで、かなりの間、ステージが中断。夜も更けてだいぶ肌寒くなってきた上、それまで場を盛り上げてくれていたリズムセクション(アイアン隊)も、早朝パレードのJouvertに出演しなければならないため、会場を離れてしまいました…もう、イライラはこの時点で最高潮でした。で、再度、バンドのセッティングが始まり、音合わせのあと、ようやく、本当〜にようやく、待ちに待ったカリプソニアンたちのステージがスタート。この時点で午前3時過ぎ…いや、4時だったかな。ほんとだったら、もうDimanche Grasはとっくに終わっていて、Jouvertで盛り上がっている時刻です。
アイアン隊の刻むリズムがなしだったのは寂しかったですが…いやー、やっぱりカリプソっていいですねー。ほんと、あれだけ待った甲斐がありました!ステージ前の一番いい席の招待客が、待ちくたびれたのか帰宅して減っていたので、迷わずど真ん前に陣取って、かぶりつきで見ちゃいました。どのカリプソニアンも、長年に渡って第一線で活動してきただけあって、若手ソカアーティストたちとは全くカリスマの質が異なるというか、とにかくステージでの風格も仕切りも違います。観客とのコミュニケーションも実にスムーズ。ほんと、『巧い!』んです。バックのブラス(バンド)との絡みもさすが。この日は生バンド、ベテランのSunshine Bandによる演奏でしたが、金曜日と比べて音が全然違う!やっぱり生のブラスは最高です。やっぱりカリプソ/ソカのステージにはなくてはならない要素だとあらためて実感しました。で、夢中になっていたら、トリニのおばちゃまに、あなたトリニ出身?と聞かれました(爆)。いーえ、ジャパンです〜と、しっかりレペゼンしておきましたが。おばちゃま、何となく腑に落ちない顔をしていました… いつものことですが、ワインのできるチャイ二ーは珍獣扱いされます(爆)。
そんなこんなで、終了した頃には、もう空が白みはじめていました。家にたどりついたのが朝の6時。前日の晩、10時前に出かけて朝6時に帰宅とは… 金曜日も相当くたびれましたが、いつになく長い一夜でした。
で、我々は帰宅してすぐ眠りにつき、目覚めたらもう午後2時でした。月曜日はレイバーデイ、Eastern Parkwayでのパレードの日です。空模様のほうは、金、土曜の悪天候はどこへやら、青空が広がって爽やかに。最後の最後で、やっとカーニバルらしくなりました。やっぱりフロート(山車)とマス(仮装)が見たかったので、疲れてはいましたが出かけることにしました。もう、結構時刻が遅くなっていたので、パレードの終点であるGrand Army Plaza周辺で観賞することに。パレードの沿道は毎年、人の多さでものすごい事になり、今年は疲れ切っているだけに関わりたくないなーと思っていたので、離れたところで、ココナツアイスやら、カーニバルの定番、トリニの南京豆売りの煎りピーナツやらを食しながら、まったりとLIMEしていました。今年は比較的、会場から近いところに引っ越したので、交通機関を使わずに済み(当日はブルックリン内の主な道路は通行止めされていて、地下鉄も満員で遅れがちです)、家から歩いていけただけでなく、人混みもほとんどなくて落ち着いて見られたので正解でした。
毎年、トリニのトラックからパレードをスタートし、その間にジャマイカやハイチ、その他の島々のトラックを挟んで、最後がトリニのJouvertバンドというのが決まりなのですが、先頭のトリニのトラックを幾つか見た時点で、もう満足だったので帰ることにしました。しかし…またしても、沿道から離れていても、他の国のバンドのマナーの悪さを目撃してしまいました(怒)。去年に続いて、またもヘイシャン(ハイチ人)でした…ほとんどパレードの終点に差し掛かったあたりで殴り合いが始まって、そこにNY警察が乱入、捕り物が始まってしまいました。もう、毎年いったい何を考えているんでしょうか? トリニやベイジャン(バルバドス人)のトラックが何台通過しても、和気あいあいで何も起こらなかったのに、最初に現れたヘイシャンのトラックでいきなりの喧嘩沙汰とは。呆れてしまいました。ただ、NY警察の連中も傍若無人で、ひとりの若者(丸腰)に、大げさじゃなく10人ぐらいが殺到して、叩きのめしていたので引きました… NYの警察は、普段はともかく、イベントの警備では非常に偉ぶっててとっつきにくく、嫌な感じです。これがトリニの警察だったら…マスカレーダーがワインを仕掛けてきたら、すかさずチャンスに乗じることでしょう(爆)。この日も、トラック上のMCの"Wine on police!"のかけ声とともに、トリニのマスカレーダーが沿道のNYPDの警官にワインしようとしたのですが、当の警官はむっつりと突っ立ったままで、洒落が分からない人というか、まあアメリカ人だからそもそも仕方ないんですが、何だかなーという感じでした。
しかも、ジャマイカやハイチのバンドは、マスをしないので、はっきり言ってつまらんのです…トリニのバンドは、色鮮やかなコスチュームや羽飾りで満艦飾、とにかくハッピーなムードなのですが、他の国々はマスをやる習慣がないので、垢抜けないTシャツと旗だけで、何か雰囲気も微妙に暗いのです。レゲエやズークといった音楽自体、カーニバルの公式音楽といえるソカやカリプソとはアゲアゲ度がだいぶ違うので、そういったディープで重たい感じの音楽が好きなら楽しめると思うのですが。トリニ・スタイルのカーニバルのファンには、そのあたりでまず魅力が感じられないかと思います。Tシャツマス(カーニバルのパレードで、仮装せず普段着であるTシャツを着るスタイル)をブルックリン・カーニバルから排除しようという声もあるほどです。本場トリニでは、パレードはカーニバルマンデー&テューズデイと二日間に渡って行われるので、一日目はおもにTシャツ着用でも、メインである二日目には、パレードの参加者はマスのコスチュームを着るのが鉄則です。ブルックリンではカーニバルのパレードは一日しかないので、当然、コスチュームを着るべきだという意見です。何と身勝手な、と思われるかもしれませんが、もともと、NYでカーニバルを始めてここまで大きくしたのはトリニ移民なのも事実で、彼等がオリジナルにこだわりたい気持ちもわかります。というか、まあ、見ているほうとしても、Tシャツマスは華がなくつまらないので。個人的には、ジャマイカンもヘイシャンも、それぞれの国の趣向を凝らして、豪華なマス、やればいいのにと思いますが…国民性も産業体系(トリニでは有名なコスチュームデザイナーが大勢いて、ビジネスとして成り立っている)も違うから、やっぱり無理かなー…。
と、こんな感じの4日間でした。今年は天気のせいでいろいろと問題点があったけれど、それでも、De party must go on, カーニバル・ウィークエンドはノンストップでした。連日の寝不足に悩まされつつも、やっぱり、ブルックリンの夏はこれがないと終わらないというわけで、今年も楽しませてもらいました!