えー、まあ、いろいろな呼び方ができると思うのですが。
NYレイバーデイ・カーニバルの参加マスバンドに、
Borokeete USAというバンドがあります。20年ほど続いているトリニ系のバンドです。今年はアラワク/カリブインディアンの部族をテーマに13セクションを展開するそうで、コスチューム写真がサイトに出揃ったらまた改めて触れたいと思います。Sesame Flyersと並び、ロードで頑張ってくれそうで楽しみなバンドではありますが、ちょっと気になったことが。
そのBorokeeteの、今年のコスチューム群の中の一点がこちらなんですが…
ん?どこかで見たことがあるような…
そうです、今年2月のトリニダード・カーニバルのIsland People Masのセクション、Nubiansと同じデザインです。ヘッドピースだけ変わってます(しかもゴテゴテしたアグリーなものになっている…)。で、こちらが正真正銘のIPのもの。
一応、2バンド間で『提携』のような形を取っているので、不法コピーとかでは全くないのですが… 余剰分のコスチュームをIPから買い取りしたものを、Borokeeteのセクションとして売り出すということのようです。良く言えばリサイクル、悪く言えば使い回しということでしょうか。
このBorokeeteの他にも、例えば、Poison UK(ロンドン)はトリニのPulse 8の一部セクションの衣装を持ってきて、そのまま自分のバンドの今年のプレゼンテーションとして使っていますし、Legacyも、積極的に海外のバンドにデザインを提供しています。去年NYで、Sesame Flyersが展開した
Pow Wowというマスが、同じテーマ名で、コスチュームは今年のLegacyをちょっとアレンジしてロンドンのマスバンド
Arawakに提供され、ノッティングヒルカーニバルにお目見えする模様です。
トリニ本国でも、あるバンドが他バンドの過去のデザインを部分的に真似して、『リミックス』として暗黙の了解のうちに発表することはあるのですが、特に最近、マスコスチュームが海外からも熱い注目を集め、半ばファッションアパレルのコレクションのように取り扱われ出した状況においては、明らかにコピーとしか思えないデザインのものが、特に海外のカーニバルで出回るようになってきました。
BorokeeteやPoison UKのケースは、提携先バンドとの合意に基づくものですが、セント・ルシア、アンティグアのカーニバルや、ヴィンシー・マス(セント・ヴィンセント&グレナディーン)等のカリブの他の島々のカーニバルでは、おい、そりゃまんまパクリだろとつっこみたくなるような、トリニの有名バンドのオリジナルの安っぽいバージョン、みたいのを平気で自分のバンドのセクションとして発表していたりします。
小さいバンドでは、予算が厳しいのは十分わかります。外国では、トリニダードのようにビジネスとしてマスバンドを運営できるわけもないですし、当然デザイナーも足りないし、生産についても、インドや中国などへの安価な海外発注が当たり前です。ですが、こうもあからさまに堂々と手抜きされてしまうと… クリエイティビティーとか、オリジナリティとかプライドとか、そういうものはないのか?と、自分もデザイナーをやっている身としましては、ちょっと首をかしげたくなります。限られた条件下でこそ、クリエイターとしての真価を発揮するチャンスじゃないのかと。カーニバル・カルチャーを愛しているなら、海外にあってこそ、自分なりの形でリスペクトを示すべきじゃないのか?と。
というわけで、次回は、友達が関わっているバンドで、小さいながら頑張っているケースをご紹介したいと思います!