今週末、NYブルックリンのカリビアン・カーニバル、正式名称『ウェスト・インディアン・アメリカン・デイ・カーニバル』、通称『レイバーデイ・カーニバル』が開幕します。今年で40周年とのことです。下記に主なイベントの日程をまとめてみました。
ご存じのように、一応、トリニダディアン以外の参加者にも配慮して『カリビアン』と銘打ってはいるものの、実質はトリニダディアン・スタイルのカーニバルですので、全ての日程はトリニ式にのっとって組まれています。カーニバル期間中は、NYだけでなく周辺都市からも、バスツアー(爆)でトリニが大挙してブルックリンに押し寄せてくるだけあって、充実したイベントの数々が行われます。ここでご紹介するのは、カーニバル実行委員会(WIADCA)による公式イベントのみですが、実際には、ブルックリン中のクラブや一般家庭のバックヤードで、カーニバルにちなんだ無数のソカ・パーティやLimeが行われています。
なお、下記のコンサート関係は全て、ブルックリン美術館の裏庭にあたるグラウンドで行われます。どのイベントも、別々のチケットが必要です。大体、20ドル〜40ドルぐらいが相場です。会場ゲートで入手できる当日券もあるのですが、その場合は5ドル増しですし、売り切れが心配ということもありますので、前売り券を買っておくほうが安心です。前日ぐらい、もしくはイベント当日の午後ぐらいまでには用意しておくといいでしょう。ブルックリン美術館の入り口を入ってすぐの受付カウンターで、希望のイベント名、人数を告げれば、誰でも購入できます。もちろん、全部のイベントを網羅することも可能ですし、このイベントと、あのイベントだけ行きたい、というのも可です。
ブルックリン美術館への行き方は、マンハッタンからの場合、地下鉄2もしくは3番線(赤のライン、どちらに乗っても可)、『Flatbush Avenue - Brooklyn College』行、または『New Lots Avenue』行に乗って、『Eastern Parkway - Brooklyn Museum』駅で下車して、徒歩一分ぐらいです。
(各イベントのフライヤーはクリックで拡大します)
8月30日(木)
Ladies Night
女性ソカアーティストが競演する野外コンサート(フェット)で、Fay Ann, Patrice Roberts, Michelle Sylvester, Ms Alysha等が出演しますが、我らがEsssenceも登場します。超パワフルな、エッセンス姐御のステージがカーニバルのイベントで見られるとは嬉しいですね。他にも、伝統的な仮装キャラクター(Ole Mas Characters)のプレゼンテーション等が見られます。
8月31日(金)
BRASS Fest
昨年、一昨年と、当ブログでもレポートを載せているのでおなじみですね。GLOWと並び、NYカーニバルで最大のソカのフェット、ブラス・フェストです。とは言え、会場がこじんまりしていて、それほど混み合うような印象もなく(当時の天気次第で人出はかなり変わりますが)、落ち着いたローカルな感じなので、大きなフェットにしては雰囲気はよいです。トリニ料理の屋台もたくさん出ます。ベイク&シャークやコーンスープ等、どれも美味しいです。バースペースもあってビール等が買えます。また、大量のラム、ヘネシーなどを独自に持ち込みし、コーク割を作ってる観客が必ずいます(爆)。
出演者としては、今年のソカ・シーンを席巻している(まあ毎年ですが、今年は特に芸能生活25周年ということで)、Machel HD とXtatikがやはり見ものでしょう。ファミリーとして、PatriceやZan、Benjaiなども出ます。これだけ小さい会場で彼等のステージが見られるのは、今や珍しいと思います。至近距離で思いっきり楽しみたい方は、おしくらまんじゅう覚悟で(笑)、ステージの前列まで行って、もみくちゃにされてください。あっ、パウダーポッシーに注意です(爆)。ベビーパウダーをまぶしてくれる軍団がいて、まっしろになります。マシェルのステージの長年の名物です。さて、昨年はサプライズゲストでDHQジュンコさんが登場しましたが、今年はどうでしょうか?たぶん、大・大ヒット曲『Jumbie』一色のステージになるのではと思います。ひょっとしたら、今年3月、NYのマジソンスクエアの伝説のコンサートで見せた、Minshallデザインの演出が再び見られるかもしれません。
その他には、女子に大人気の色男、Shurwayne Winchester & Traffik、それから、Mr Vybe君とLyricalも出演予定です。
9月1日(土)
Junior Parade
まずは、午前9時から午後3時まで、お子様の仮装パレードが行われます。カラフルでとても可愛いので、カーニバルならではの写真を撮りたい方なんかには大いにおすすめです。ただ、パレードのルートが、ブルックリンの地元民でないとわかりにくい場所を通るので、よくポスターの表示を見て、Google Map等で確認してみるとよいかもしれません。めんどくさい場合には(爆)、午後になってから、ゴールとなるブルックリン美術館のあたりで張っているといいかもしれません。
Panorama
そして同日の午後8時からは、おなじみ、スティールバンドのコンテスト、パノラマのNY大会が開かれます。スティールパン・ファンは必見です。日本から見に来られる方も多数の有名イベントです。昨年は、大荒れの天気で史上初の順延を経験しましたが、今年は天気に恵まれるといいですね。どのバンドが何の曲で優勝するでしょうか。
9月2日(日)
Dimanche Gras
カーニバルの前夜祭、伝統的なディマンシュ・グラのイベントです。こちらについても、当ブログでは何度かレポートを掲載しているので、おなじみかと思います。カリプソ・ファン垂涎のステージが見られます。観客も年配の人が多く、とてもマチュアな感じのイベントです。今年は、帝王スパロウを筆頭に、巨匠デイヴィッド・ラダー、人気者のScrunter、『Cold Sweat』の大ヒットで見事返り咲いたCrazy、ベテラン女性シンガーのSinging Sandra等のほか、やや若手では、ラプソと演劇のグループ3 Canalが出演予定です。
カリプソ・コンサートの他、カーニバルキング&クイーンの豪華なコスチュームのコンテスト、アフリカン・ドラミング&リンボーダンス、Moko Jumbieのステージ等が行われるカルチャー色の強い催しです。ステージ脇では、車のブレーキホイールやカウベル等から熱いリズムを叩き出す、職人技の光るトリニ伝統のアイアン・リズム・セクションにも注目です。
9月3日(月)
Jouvert
さて、告知ポスター等はないものの、NYのカーニバルで人気の高い催しがJouvert(ジューヴェイ)。夜明け前の暗闇のなかで行われる、カジュアルなパレードです。マスバンドに所属していなくても、飛び入りで楽しめるのがこのイベント。カーニバル当日(月曜日)の夜明け前の午前2時に、ブルックリン美術館からほど近い市立図書館の前でスタート、そのまま、Flatbush Avenueを南下して、Empire Blvdを経由、最後はNostrand AvenueとLinden Blvdの角までパレードします。Flatbush、Nostrandとも、ブルックリンのカリビアン・コミュニティーを南北に貫く代表的なアヴェニュー、表通りです。
本場トリニダードで参加された方はご存じと思いますが、泥、ペンキ、粉などが飛び交う、元祖どろんこ祭りです。くれぐれも、お洒落をしていかないようにしましょう。また、靴も、足を踏まれても大丈夫なようにスニーカーがベストでしょう。それから、NYの9月初旬の夜は冷える場合もあります。温度調節できる服装がよいでしょう。
そして、何と言っても、ジューヴェイの心臓、屋台骨とも言えるのは、山車に乗っかったアイアン・リズム・セクションによる切れ目ない陶酔的なビートと、スティールバンドによる情熱的な演奏。パレードの参加者も、各自ホイッスルや、空き瓶&スプーン等、手軽なリズム楽器を持参して加わるのが伝統です。
Parade of Bands
そして、カーニバル・ウィークのトリを飾るイベントが、皆(というか、通常、トリニ以外の人々)が俗にカーニバルと呼ぶ、仮装パレードです。今年は40周年ということで、例年とは違い、まず、午前8時頃、パレードのゴール付近(ブルックリン美術館前)で、キング&クイーンが大集合するそうです。その後は、通常通り、逆の方向、Eastern ParkwayとUtica Avenueが交差する地点からバンドのパレードがスタートします。これが午前10時ごろだと思います。その後、数時間かけて、美術館前を通過し、図書館の前、プロスペクト公園前までパレードします。その時点で大体、午後5時〜6時ぐらいになるはずです。
こちらも、過去記事のレポートをお読みいただければ雰囲気は分かるかと思います。当日はすごい人出になりますので、くれぐれも怪我などに注意して見物しましょう。マスバンドに参加する人は、集合場所など各バンドからお達しがあるはずです。
NYのパレードの場合、カリビアン移民たちが各国を代表してバンドを組み、巨大スピーカーを載せたトラックから、それぞれの国のダンスミュージックを流しながらパレードします。やはり見所は、何と言っても、華やかな衣装と大音量のソカで圧倒的なパワーを振りまく、トリニダード、バーベイドス、グレネイダ、セントルシア、セントヴィンセント、アンティグア等の国々の、カーニバルらしさを最も発揮しているバンドの数々です。
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余談ですが、例年の進行の悪さ(特に去年は、天候の影響もありプログラムがめちゃくちゃだった)のせいか、コンサート関係は、今年からは出演者をずいぶん減らしたな〜という印象です。まあ、苦肉の策なのでしょうが… Brass Fest、Dimanche Grasのコンサート共に、おととしぐらいのほうが、もっとアーティストの人数が多くて、しかも豪華メンツだった気がします。今年はMaximusやBunji、Destraがいませんね。たぶん、別のフェット(Glowとか)に出るのでしょうか。それから、StalinやBaron、Roseがいないなんてありえない!去年は本当に進行が酷くて、特にDimanche Grasのときはジューヴェイに間に合わなかったりしたので、これだけ出演者をカットしたのなら、その効果が出てないと皆マジで怒りますね。でも、Dimanche Grasの出演者の人選はほんと、どうなんでしょう。今年はなんか疑問が残ります。なんでNelson、Cro CroとかChalkieが来ないんだ。近年のNYカリプソ・シーンでは、ディマンシュグラよりむしろ、件の『母の日コンサート』のほうが熱いという噂はやはり当たっているようです。む〜ん。パレードにはHawksも出ないしな。なんか、個人的にはわりとがっかりな今年です。
でもまあ、一般には大いに楽しめると思いますので、ブルックリンのカリビアン・パワーの凄さを、ぜひ一度は体験しにいらしてください。レイバーデイ・カーニバルの公式サイトはこちらです:
WIADCA - The Official Website of The West Indian American Day Carnival Association