今年のNYレイバーデイ・カーニバルのロードミュージック(パレードの行進曲)で人気だった曲をピックアップしてみました。ベスト10と銘打ってはいますが、順不同です。
(曲名をクリックすると聴けます)
Pressure Boom - Ricky T
Party Animal - Problem Child
Dutty - Roy Cape All Stars ft Blaxx
Whining Season - Machel
Down De Road - Machel
Jumbie (Roadmix)- Machel
Wukkin Up - Patrice Roberts
Fly Away - Zoelah
Just Trees - Tallpree
Traffic - Berbice
どうでしょう、ちょっと見慣れないアーティストの曲や、またはお馴染みのアーティストでも、今回初めて耳にしたという曲がありませんか?
ソカのメッカ、トリニダードではカーニバルが2月に終わると、業界もほぼ年末までお休みモードに入ってしまうのですが、世界各地のカリビアン・コミュニティでは、逆にそれ以降が本番。夏になると毎月、これでもかと立て続けにカーニバルが行われます(好きな人は一部、または全部をはしごして参加するみたいですよ!)。
主なものだけでも、
6月:ワシントンDCのカーニバル
7月:セント・ヴィンセント&グレナディーンのヴィンシー・マス、セント・ルシアのルシアン・カーニバル
8月:カナダ・トロントのカリバナ、アンティグア・カーニバル、バーベイドスのクロップ・オーバー、グレネイダのスパイス・マス、イギリス・ロンドンのノッティングヒル・カーニバル
9月:NYのレイバーデイ・カーニバル
10月:マイアミ・カーニバル
…といった具合ですから、近年では、これらのイベントに合わせてリリースされる新曲がずいぶんと豊富になってきています。カーニバル、そしてソカの人気が世界中で高まってきているという証拠でしょう。一年中退屈することがなくなってきて嬉しいですね。
NYのカーニバルでは特に、北米最大のカリビアン・コミュニティを抱えるという土地柄、カリブ諸島各地から参加者を集めるわけですが、ロードミュージックもトリニダード産のものだけでなく、他の島々からのものがヘビーローテーションされるのが特徴と言えます。例えば、上記のベスト10の中でそれぞれ、Problem Childのはセント・ヴィンセント、Berbiceのはグレネイダ、Ricky Tのはセント・ルシアの2007年ロードマーチ(その年のパレードで一番マスカレーダーたちに支持された曲)だったりします。他にも、Zoelahがセント・ヴィンセント、Tallpreeがグレネイダ出身のアーティストです。
あとはご存じソカ・キング、Machel絡みの曲が並びます。2月のトリニダード・カーニバルを席巻した『Jumbie』は、もちろんNYのロードもmash upしましたが、今年8月のバーベイドスのクロップ・オーバーで大ヒットとなった、新曲『Whining Season』は特に要チェックです。Machel組の紅一点、Patrice Robertsも同じトラックでリリースしており、それが『Wukkin Up』という曲です。ダンスホールレゲエでいう『同一オケ』というやつですね。
大体、90年代以降だと思うのですが、ダンスホールとの距離が接近してきた頃から、ソカにもいわゆる『リディム』というのが出てきたわけですが、今回これらの曲に使用されているのは『Barbershop riddim』というらしいです。なんで床屋なのか、今のところ語源はよくわかりませんけども… この『Whining Season』、いつものパワー全開のぶっとび系とは違って、オールドスクールなフレーバーのミディアムテンポが新鮮なパーティチューンです。『おいよいよよよいよ♪』の掛け声も嬉しい、カリプソ/オールド・ソカファンにもおすすめのレイドバックな出来です。
マシェルは物議を醸すようなステージもやりますが(例のPower Puff Girlsとか…)、元々、伝統には人一倍強いリスペクトを示しているアーティストだったりしますから、こういうオースクなチューンもお手のものです。喧嘩沙汰で警察に出頭などトラブルも多いですが、何を出しても外れなしなのは、シーンでもこの人ぐらいでしょう。来年のカーニバルには一連の揉め事の影響で参加できないんじゃないか、なんて声も出ていますが、世間はマシェルの行動の是非を問う前に、『マシェルのいないカーニバルなんてありえない!それじゃ踊る曲がなくなっちゃうじゃん』という調子です。問題行動が多いとはいえ、トリニダードだけでなく世界中のカーニバルに欠かせない人物なんですよね。よって、なんだかんだ言っても恩赦になるのではと思われます(それほど愛されてるんだから、もうちょっと自覚を持ってもらいたいものです)。
NYのカーニバルも終わって、あとはマイアミ。それで今年のカーニバル・サーキットもいよいよ終了です。今からもう、来年2月のトリニダードに向けて、どんな曲がリリースされてくるのか楽しみで仕方がないといったところです。
Toronto-lime.comでも写真が見れるようになりました。パレードはもちろん、沿道の屋台や観客の様子もよく写っています:
NY Labor Day Carnival