待望の『Legacy』(レガシイ)のコスチュームが発表されました。他の人気マスバンドと違って独自のポリシーを貫いている彼等は、毎年、10月以降と比較的遅い時期にローンチを行いますが、それだけ、このバンドに忠誠を誓っている多くの固定ファンがいるのだろうと推測します。結論から言うと、辛抱強く待った甲斐があったと言えそうですね。コスチューム自体の出来はこれまでの同バンドのものに比べると、かなりグレードアップしているそうです。
『Passages』(通過、旅路等の意)と題したプレゼンテーションですが、テーマはずばり、アフリカ大陸です。多くのトリニダード・トバゴ人、ひいては人類のルーツでもあるマザーランド、アフリカ。そこに暮らす様々な人々、文化、自然などをインスピレーションに、北はモロッコから、ケニア、ウガンダ他の中央アフリカを経て、南アフリカに至るまでの旅の道筋を、各セクションで表現したとのこと。
特に黒人系のトリニダディアンは、アフリカに対して特別な憧憬を持っていますから、現地では皆『こりゃ凄いモノを見せてくれそうだ』と過大とも言える期待を抱いていた模様です。それだけに、発表された作品を見て『思ったよりアフリカっぽくない…』という意見が聞かれます。
確かに、アフリカというともう、デザイナーにとってはアイデアの宝庫なはずです。動物や民族衣装、工芸品等、力強く印象的なモチーフで溢れている土地ですよね。当然、トリニダードのマス界でも、昔から繰り返し追求されてきたテーマですし、見応えのあるプレゼンテーションが過去にもあった(例えば、ごく最近ではIPの
これなんか秀逸でした)だけに、果たして、今回のLegacyが『母なるアフリカ』を存分に描き切ることができたかというと… 『かなり出来のいいビキニ&ビーズマス』、それ以上でも以下でもなく…チャンスを生かしきれなかったかもですね。料理の仕方次第では、バンド・オブ・ザ・イヤーを十分狙えるテーマだったと思うのですが。バンドとしてはインディヴィデュアル(個人用の特別オーダーのコスチューム)とか、キングやクイーンの衣装で勝負するつもりなのかもしれませんね。
他に来年向けのバンドでは、テーマに忠実なことでは定評のあるTrini Revellersさえも、メキシコというネタ豊富なカルチャーにフォーカスしたはずが、ところどころで若干、消化不良気味のプレゼンテーションとなってしまいましたし、Pulse 8のモロッコの表現に関しても、同様の感想を抱かざるをえなかった感はあります。いっそ、テーマ設定なんてやめちゃえ、どうせどのバンドも似たような衣装になるんだから、といった声も聞かれますね。Hartsのように、とりあえずホットな衣装を出すという事が常に念頭にあり、最初からテーマは眼中に入っていないバンドもありますが… 一方で、Island Peopleや、言わずもがなのMacFarlane Band、そして新バンドのOracle等は、よくテーマを反映したバンドづくりが特徴ですし。一概には言えませんね。
まあそういった意味では、残念ながら『なんとなくアフリカ風』となってしまったLegacyのコスチューム群ではありますが… 今回はもう、
『ヘッドピース祭り』
ということで、全てOKでよいのではないかと(爆)。正直、首から下は他のバンドに混ざっててもわからんようなデザインがほとんどですが、これだけのヘッドピースが揃うならば、それだけで十分『買い』でありましょう。
(クリックで拡大します)
IP(値段のわりにヘッドピースがショボ過ぎ)なんかは、ちったあ見習えと声を大にして言いたいですな。マス=マスカレード=仮装舞踏会なんですから、このぐらいインパクトのあるデザインで競いあってほしいものです。カーニバル後の土産にも最適でしょう。いや、実際、インテリアとして飾るマスカレーダーも多いようですよ。ぜし、飛行機で強引に機内持ち込みして、工芸品、美術品として持って帰っていただきたい。
気になるコスチューム価格のほうは、シンプルなもので300ドル代、豪華なタイプでも軒並み400ドル代となっており、食事などオール・インクルーシヴのサービスつきです。安くはないですが、今年の他のバンドと比べる限りはまあ妥当かもしれません。このLegacy、デザイン傾向としては、TRIBE狙いだったけど間に合わなかった…という方に特におすすめのバンドと言えそうです。
ヘッドピースばかりに目を奪われてしまった筆者はさておき、全身を含めた衣装チェキはこちらからどうぞ:
Legacy Mascamp(公式サイト)
Legacy 2k8 Band Launch - Passages(Islandevents.com)
2個目のリンク先のアルバムの最後のほうでは、名物マスカレーダーであるLegacyのバンドリーダーお二人の姿を拝めます。この前書いた、ライバルバンドのGenesisの夫婦同様、揃って派手好きのマッチョで、NYなど海外のカーニバルにも遠征していてよく知られた存在なので、来年はどんなびっくりコスチュームをまとって出てきてくれるのか(特に、男性のほうは、ふんどしルックとか素で平気な人だったり)、それもまた楽しみであります。