やはり、カーニバルのコスチュームの話題を出すと、ブログへのアクセス数が確実に上がりますねー(笑)。
さてさて、トリニダードでは、2009年2月のカーニバルに向けて、すでに準備がスタートしておりますのは皆様、周知の通りかと存じます。これから、暇をみてこのブログから'09年カーニバルに関連したニュースを(まあ、またしても、筆者は行けるかどうか、今のところ全然わかんないんですが)、ご提供できればと思います。が、その前に、記事を書くたびに、括弧(かっこ)つきで注釈をいれるのもうっとおしいかと思いますので、カーニバルにおける用語について、簡単ですがまとめてみることにいたします。
カーニバル(トリニダード・カーニバル)
Trinidad Carnival
当たり前なんですが、このブログで『カーニバル』という場合、トリニダード・トバゴ共和国のカーニバルを指します。毎年2月に行われます。日程は、キリスト教の暦と深い関連があるため、毎年変わります。たとえば、今年は2月初旬でしたが、来年、'09年では2月後半(23、24日)になります。
カーニバルといえば、日本ではブラジルのリオがまだまだ有名ですね。ブラジルには日系人も多く、なんといっても人口ならびにカーニバルへの参加者、さらに観光客の人数が全体に多いですし、TV中継なども世界に向けて派手に行われますので、どうしても日本人には、浅草サンバカーニバルのようなイベントのイメージも手伝ってか、カーニバル=リオという認識が根強いかと思われます。しかしながら、どうしてどうして、トリニダード・カーニバルの欧米での人気といったら凄まじいものがあるのです。
理由はやはり、欧米各国(特に米・カナダ・英国など)に移住した多くのトリニダード人にとって、郷愁と直結する特別なイベントであり、彼等のほとんどがカーニバルへ参加するために本国へ帰省すること、また、非トリニダード人の欧米人にとっても、トリニダード・トバゴは旅行先として高い人気を誇っているからでしょうか。日本では、カリブといえばジャマイカばかりがクローズアップされますが、欧米ではむしろ、特に裕福な旅行者には圧倒的にトリニダードが好まれています。当然、見所が満載のカーニバル時期には、人口は東京都ぐらい、広さは千葉県の面積ぐらいしかない小さな島に、大勢の観光客が押し寄せるわけです。
そういう状況が毎年繰り返されますので、カーニバル行きを計画する場合には、半年ぐらい前から航空券、ホテル等を予約することが望ましいとされています。以前は、3ヶ月前ぐらいで十分間に合ったようですが、年々、予約が取りづらくなっているようなので、早めのアクションをとるに越した事はないようです。
トリニダードまでちょっと行けそうにないし、2月という時期も休暇を取りづらいという方には、外国で行われるカーニバルに参加する手もあります。前述のとおり、欧米諸国にはトリニダードからの移民が多数住んでおり、その総数はおそらく、本国生まれでない2世、3世まで含めると、トリニダード本国の人口を上回ってもおかしくないのではと思われるほどです。そういった海外在住のトリニダディアン達が、ふるさとの文化を伝えていきたいという気持ちから、各地で本国に似せたスタイルのカーニバルを行うようになりました。
そこにさらに、トリニダード以外のカリブ諸国、ジャマイカやハイチ、バルバドス、セントヴィンセント、アンティグア・バーブーダ、グレナダといった国々からの移民たちも賛同し、本国トリニダードとは、少々違った雰囲気のカーニバルが創り上げられてきました。具体的には、カリプソやソカのほかに、レゲエやズークなど、サウンドトラックの種類が増えたということですね。また、トリニダード人のような華やかな仮装をしない、俗に言う、普段着着用の『Tシャツバンド』によるパレードも出現しています(これについては、文句を言うトリニダディアンが非常に多いです。カーニバルの伝統を否定していると)。
これら海外のカーニバルについては、参加者がそのように多国籍なため、『カリビアン・カーニバル』と総称されることがほとんどです。有名なところでは、カナダはトロントで行われる『Calibana』、アメリカ・ニューヨークの『Labor Day Carnival(正式名称はThe West Indian American Day Carnival)』、アメリカ・フロリダ州マイアミの『Miami Carnival』が北米3大カリビアン・カーニバルとされています。その他にも近年では、アメリカの首都、ワシントンDCや、アトランタのカーニバルも勢力を拡大していて、トリニダード移民を筆頭に、カリビアンたちのカーニバルにかける底無しの情熱には、圧倒されることしばしばです。
写真下は、ニューヨーク・ブルックリンのカーニバルに参加したトラック。このトラックに目一杯サウンドシステムを積んで、地響きのするような爆音でソカやレゲエを流しながらパレードします。トラック側面がトリニダードの国旗に埋め尽くされていますが、ジャマイカやアメリカの旗も忘れずに掲げているのが、移民の街・ニューヨークのカーニバルらしいところ。よく見ると、バルバドスやアンティグア、ガイアナの他、英国旗までもちょこんと飾られています。
そういった、世界各国に散らばるカーニバル好き達が集結する総本山がトリニダード・カーニバルであり、そのスケールにおいては海外のカリビアン・カーニバルの比ではないとされ、『グレイテスト・ショウ・オン・アース(地球一のショウ)』と彼等が誇るイベントなのであります。
カーニバル・マンデー&チューズデイ
Carnival Monday & Thuesday
トリニダード・スタイルのカーニバルでは、このカーニバルマンデー&チューズデーに先立つこと一ヶ月ぐらい前までを指して『カーニバルシーズン』と呼びます。つまり、その時期は毎日がカーニバル漬けというわけで、国の楽器であるスティールパンの世界大会『パノラマ』の予選&本選や、カリプソやソカのコンテスト等、いろいろな熱い催しが開かれます。ただし、カーニバルマンデー&チューズデーが、世間一般が抱く『カーニバル』のイメージを凝縮した中心イベント、すなわち、仮装パレードが行われる日として特に知られており、この両日を指して、カーニバルと呼ぶ場合も多くあります。
文字通り、月曜&火曜日の意味ですが、必ず、パレードはこれらの曜日に行われることになっています。ただし、冒頭で述べたように、キリスト教の暦の関係で、その日付は流動的であって、毎年変わります。このうち、月曜日は気楽なパレード、火曜日は真剣なパレードを行うこととされています。
どういうことかと言いますと、仮装パレードでは衣装を身につけて、音楽に合わせて沿道を練り歩くわけですが、月曜日は全身フルに仮装することなく、衣装の一部だけを身につけたりして、リラックスした状態でパレードに参加するのが通、とされています。とはいえ、月曜には月曜の楽しみ方があるということで、マンデー・ウェアと呼ばれる、月曜日用のカジュアルなコーディネイト(例えば、タンクトップやショートパンツ、帽子など)を考案したりと、仮装用コスチュームとはまた別に、工夫を凝らす参加者も多いようです。
では火曜日はというと、この日は晴れ舞台です。参加者は出来る限りの労力を費やして、メイクやボディペイントなども入念に行い、全身キメキメで出陣します。一年間、この日のために貯金して、高価な仮装コスチュームを購入するのです。
ところでこの両日制は、トリニダード・カーニバルならではのルールであって、海外のカリビアン・カーニバルでは、大抵、仮装パレードは、カーニバル・チューズデーにあたる1日しか行われません。そりゃ、他国人も多く暮らすニューヨークのような街では、2日間も沿道を占拠することは不可能ですよね。トリニダードでは、カーニバルは国のプライドを賭けたイベントですから、もう、首都ポート・オブ・スペインがカーニバル会場そのものになってしまうようなもので、そういう心配はないということですね。
写真上がカーニバル・マンデーの装い、下が本番、チューズデーの装いの例です。あいにくと同一人物じゃないのですが、同じTRIBEのチョウチョがテーマの衣装です。マンデーの人は、コスチュームのブラだけを着用して、あとはデニムショーツとカウボーイハットにしてますね。チューズデーのおふたりは、フル装備でヘッドピース、腕、足飾りはもちろん、背中に羽までつけています。顔にはボディ用ジュエリーを貼ってますね:
カーニバル用語集:その2へつづく