東京の空は、何やらいよいよ梅雨入りかと思わせる曇天模様。湿気もあがるが気温も上がってくる今日この頃、夏といえばやっぱり!ビールでしょという読者諸兄姉も多かろう。筆者は本来はかなりイケる口なのだが… 最近は美容と健康のため、アルコールはさっぱりである。とはいえ、やはり暑い日のビールだけは格別なものがあるのも確か。
暑い=ビール飲みて〜、熱帯のカリブ諸国でもそれはお約束。カリブで最も人気のビールの名も、そのものずばり"Carib" カリブだ。"a beer is a Carib"(ビールと言えばカリブ)をキャッチコピーに、トリニダッドからカリブ諸国に展開するビールの銘柄である。日本ではどうしても、ジャマイカ産の"Red Stripe" レッドストライプの方が知名度が高いようだが、カリブ諸島一帯では(しつこいようだが)、"a beer is a Carib"なんである。
トリニダッドやカリブ諸国に行くと、街のあちこちに黄色に青い"Carib"ロゴの看板が見られ、それがまた南国の風景になんともマッチしている。国民的スポーツ、クリケットの世界大会では、西インド諸島(カリブ)チームのスポンサーにもなっている。醸造元のCarib Breweryはトリニダッドを代表する企業のひとつでもあり、Caribブランドは1950年の発売以来、国内のビールの約3分の2のシェアを誇っている。
口当たりは軽くさっぱりしており、日本のビールのような苦み、コク味こそ感じられないが、その分ずっと飲みやすい。あの暑い気候には適しているだろう。アルコール度は5.2%。かなりよく冷えているほうがおいしい。系統としては、日本のレストランでも最近よく見かける、Corona コロナなどのメキシコビールに近いと言えそうだ。コロナがお好きな方は気に入ると思う。NYでも、ブルックリンのカリビアン・コミュニティ内のスーパーやデリに行けば比較的容易に入手できるが、まずマンハッタン内で見かけることはないだろう。
その他トリニで人気のあるビールとしては、『男のビール』というキャッチで売っているStag スタグがある。こちらはアルコール度5.5%、もう少し、ホップの苦みとパンチの効いた重めの口当たりで、やはり男性中心に根強い人気を誇っている。Stagファンには、ビールはこれしか飲まん!という頑固野郎も多いようだ。あとはStagよりは若干甘めと言われる、Carlsberg カールスバーグというデンマークのブランドも人気だ。これは日本でもサントリーが取り扱っている。いずれのブランドもトリニダッドのカーニバルにおいて、有名なMas Band マスバンド=仮装チームや、コンサート会場などのスポンサーをしていたりするので、カーニバルの喧噪の中にこれらのロゴマークをしばしば見かけた方もあるかと思う。日本でも定着した黒ビール、Guiness ギネスも比較的よく飲まれているようだ。これらのブランドも全て、トリニダッドではCaribの製造元によって流通している。
トリニダッドといえばラム酒が世界的に有名だが、ビールも人気が高いのだ。ただ、トリニの2大ビールブランドCaribやStagは、前述のように北米でもカリビアンの住むコミュニティに行かないと入手不可能なので、なかなか一般には浸透しないのが実情である。日本では、Caribをオンラインで扱っている
お店もあるが、酒屋さんの店頭で見かけることはまずない。レストランでも出すところがあるかどうか。なおStagのほうは、同名のビールは世界中で扱われているが、トリニのものは別格!だそうである。右写真はcarib@前回のCOSKEL展示会。