写真左・カーニバル期間中にオープンしたばかりのトリニダディアン経営の理髪店、Strandzの店内。
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日々仕事に追われていて、少しばかり間が空いてしまったが、ブルックリン・カーニバル・ウィークエンドのレポートの続きといきたいと思う。
さて、第2日目の土曜日。前日、金曜日の
Brass Festivalが午前3時に終了し、帰宅して即、睡眠をとるも、ぼんやりお疲れモードの我々。夜7時からは、スティール・パンのバンドが多数参加するコンテスト、"Panorama"が行われることとなっていたが、翌日、日曜日の夜のDimanche Gra(カーニバルの前夜祭)のチケットはすでに購入済なだけに、今夜のパノラマにも行くとなると、かなりの出費になってしまう。さらに、スティールパン演奏が珍しくてしょうがない異国人の筆者と、家のすぐそばにパン・ヤード(スティールバンドの練習拠点)があり、幼少の頃から、嫌と言う程パンを聴かされて育ってしまったココ氏との間に、どうにも温度差アリ。無料のイベントだったら、筆者、一人でも行こうかと思っていたのだが…チケット代でまた2、30ドル取られるのはちとキツイ。が、聞くところによると、翌日のイベント、Dimanche Graにも著名なパンニストが何人か出演するという事なので、それなら、そっちを聴けばいっか、と、今夜のパノラマはキャンセルということになった。
今夜は明日に備えてくつろぐか、という感じになっていたところ、そこに一本の電話が。つい最近知り合いになった、K氏というトリニの青年からだった。K氏は、どこかの掲示板で我々COSKELのウェブサイトを知り、一目見てメチャ気に入ったぜ、俺にも何か手伝わせてほしい、という感動的なファンレターをくれた方。数週間前、ココが実際にお会いしたところ、意気投合。このK氏は理髪師なのだが、長年の夢叶って、もうすぐ自分の店をオープンする事になっており、そういうことなら、我々もこれから伸びて行く新しいブランドだし、何らかの形でお互いサポートしていこうじゃないかという事になったわけだ。
K氏が電話をくれたのは、明日の日曜日に、彼の理髪店のグランドオープンを予定しているのだけど、その前にちょっと店を見に来ないか、ということだった。時計を見れば、もう夜10時近かったが、カーニバルに備えて小ギレイにしておきたいというお客さんでまだまだ一杯、今夜は宵っ張りでお試し営業しているとのことなので、それならと言う事で急遽、身仕度をして、ブルックリン内でも殊更ディープなカリビアンエリア、Church Avenueに向けて出発。
到着してみると、K氏の店 "Strandz"は、今までにないお洒落でクリーンな感じの理髪店を目指したということで、明るくキレイ。全面ガラス張りの店先から、すぐ目に飛び込んでくる赤・白・黒(ご存じ、トリニの国旗と同じ配色)の壁画が印象的、収納棚や鏡も特注したということで、シルバーを基調とした全体にモダンな感じのインテリアだ。スタッフの平均年齢も若く、皆張り切っているし、ユニセックスのサロンという事で、女性客も多くやってくる。何と言っても、カリビアン・コミュニティのど真ん中という好立地で、かなりの集客が見込めそうな気配だ。
アイス・キューブ主演のコメディ映画 "Barbershop"をご覧になった方はピンと来られるかと思うが、ブラック・コミュニティにおける理髪店、いわゆる床屋というのは、地域のハブ的存在として機能している、非常に重要な存在なのである。黒人種の髪というのは形状が特殊であるから、髪を整えるには、コミュニティ内の専門店に来る必要がある。マンハッタンの、オシャレなSohoあたりに行ったってそういった店はないのである。そしてそこでは、皆が始終立ち寄って情報交換するため、今、コミュニティで何がどうなっているか、手にとるように分かる。お客さんは何しろ皆、キレイにしてもらいにくるわけだから、オシャレにも当然関心がある。そして、髪を刈ってもらうなり、ヒゲを剃ってもらうなり、ブレイズを編み込んでもらったりしているある程度の時間は、店内に拘束されて、常にスタイリストと対峙しているわけだから、彼等の服装や身につけている小物なんかをネタにして、おしゃべりで盛り上がるというシチュエーションも大アリだ。日本でも有名美容院にいけば、スタッフ皆、ファッション雑誌から抜け出してきたかというような出で立ちであるのが普通だ。室内で、空調が効いているのが当たり前だから、季節に関係なく、好きなアイテムを着る事もできる。
そこで実際、COSKELとStrandz、お互いの利点を生かして、どういう風にサポートし合っていくか、という事で浮上したのが、いわゆるコラボ案である。Strandzのスタッフに、特別にデザインしたCOSKELのTシャツを着てもらう。これが、上記のような性格を持つブラック・カリビアン・コミュニティ内のバーバーショップでは、大いに意味を持ってくるわけだ。我々にとって大きな宣伝になるのは間違いないが、同時に、Strandz側としても、オシャレな理髪店、としてのさらなるイメージアップにつながるわけである。しかも、無個性なアメリカの大手ブランドの物とは異なる、自分達のコミュニティとカルチャーに根ざした、全く新しいスタイルのブランドの商品ということで、胸を張ってアピールできる。さらに、熱心なCOSKELファンを自認するK氏は、店内にてCOSKELのアイテムを各種販売するプランも立てており、すでに陳列用のガラスケースも購入済(!)とのことだった。
デザインの参考にするために、店内や、スタッフの様子なども少々撮らせていただいて、簡単に打ち合わせをしたが、『もう、全部任せた』とのことなので、店名のロゴなども、我々で好き勝手にデザイン(笑)してよいことに。今週末のパーティはじめ、いろいろとプロジェクトが押しているので、実現まではもう少しかかるかと思うが、今月中にはアタリをつけたいなと思っている我々だ。
そんなこんなで、K氏の元を辞した後、気持ちのよい夜だったので散歩がてら、Church Avenueを延々と歩いて、(例の、トリニ朝食専門店
Bakes 'n' Thingsの横も通過して)30分ほどでNostrand Avenueまで到達。もう夜1時ほどになっていたが(また夜更かしかい)、腹減ったねーということで、食事を調達することに。カーニバル・ウィークエンドということで、ほとんどのカリビアンレストランがまだまだ営業中。よりどりみどりだったが、今夜はジャークチキンなかんじ、ということで、ココおすすめの店を初体験。これが筆者的には、これまででナンバー1ヒット。ジャーク・スパイスの味もほどよくスパイシー、肉が焼き過ぎてパサパサということもなく。例の
汚いジャーク店(笑)もいけるのだが、今夜のこの店(の方が旨いと筆者は思ったが、ココは互角だとの意見)を発見したのは貴重だった。カリブご飯リストに加えておこう…メモメモ。
えっと、上記のジャーク・チキンの店、ぜひ行きたい!という方のために、詳しい場所なのですが…店名はよくわからず。すんません。位置的には、Nostrand Ave とChurch Aveの交わる角です。もし、方向的にプロスペクト・パーク側からやってくる場合には、右手側になります。