ふっふっふ。コスメ大好きっ子に本命バトンが回ってきましたよ!
Chillin with CHILLのChillさん、サンクスです。題して『コスメバトン』。ですが、ヘア&メイク、両方に関する質問集となってます。まずは『ヘア編』から。でも後半、バトンの主旨から外れてちょっと黒人文化論めいたモノに仕上がってしまいましたので、げー、コスメねたかよ〜と思われた男性読者の皆様も、ぜひお読みくだされ。
コスメバトン***ヘア編***
■Q01:今の髪型はどんな感じですか
背中半分より長いぐらいのストレートロングで、真ん中分け。色は地毛(暗いこげ茶色)。天然の金髪茶髪のヨーロッパ系人種が周りにフツーにいるだけに、日本の若者のよーに脱色したり染めたりしてもなんか滑稽に見えそうで…自分の顔立ちともどうも合わないし。ただ以前、赤のようなオレンジのようなヘアマニキュアを前髪にのみ部分的に入れていたときは、グリニッジヴィレッジあたりのヒップなヤング達(死語)akaゲイ・ピープルには評判がよかったので、そのぐらいだったらまたやろうかな? 黒髪ベースで、部分的に赤とかブロンドのエクステを入れたりしても面白そう。
NYに棲息する、お洒落には人一倍うるさくアーティスティックなゲイ男性達、彼等の批評家精神といったら凄まじいものがあるので(ゲイのファッションチームが、ダサいストレート男性にあれこれアドバイスして変身させるTV番組もあるぐらいだ)、彼等の主な行動範囲であるマンハッタンのダウンタウンに出張する時は、デザイナー的にくれぐれもファッションには気を抜けない。ちなみにCOSKELも、そんなゲイの方々から熱烈な支持があるので安泰ッス! いやマジで、いかにファッショナブルかを示すバロメーターというべきか、NYのファッション/アート業界で成功するにはなくてはならない要素なんですよ。そこが、ウチとストリート<サグ>ブランド(Phat FarmやSean Johnなど)との大きな違いなんですよ。ゲイの人がPhat Farmベタ褒めしてるなんて聞いた事無いもんね。
話をヘアに戻すと、ブルックリンのうちの近所では黒人の女の子たちの多くが、強烈なコテをあてて板のよーな無理めなストレートにしていたり、まるで馬のしっぽみたいに粗悪な格安のつけ毛をぶら下げて、ビヨンセだかアシャンティのつもりだか知らんが、それはもう必死になって生まれ持ったブラック・ヘアを否定しているのを見かける。そんな彼女等が非常に気の毒なので、あえて見せびらかしてやれと(爆)ストレートヘアをキープする筆者なのである。ただし、ステレオタイプ的にひっくくられ、アジア人はみんなチャイニーズかコリアンと思われるのはなんか悔しい。いかにもオリエンタルです〜、にはならないように、あくまで『日本人レペゼン東京』的に恥ずかしくない、モード系ロングヘアになるよう心掛けている。髪が多いので全体にレイヤーを入れて、長さを保ちつつ上手い具合に梳いてもらい、顔まわりの髪だけは、顔の輪郭線を囲むような感じで、顎の先ぐらいまでの長さに短くしてある。こうすると、80年代流行ったようないわゆる『ワンレン』、360度何処から見ても全部同じ長さのスタイルとは違い、長さのわりに軽快な感じが出て古臭い印象にはならない。ただ、後ろで髪をひとつに束ねると、前のほうの短めの髪だけ結び切れなくて落ちてきちゃうので、たまに鬱陶しいこともあるけれども…
■Q02:どんなヘアアレンジをしますか
ご自分で編み込みとか巻き髪、ブローとかできる方、本気で尊敬します。夏でどうしても暑くて髪をまとめなきゃいけないときだけごく簡単にアレンジするかも。前髪ポンパドールが楽で便利。ちょっと前髪をクシでとって、逆毛をたててねじり、ちょっと前に押し出すようにしながら、地肌にピンでとめるだけ。後ろはゴムでひとつに縛ったり、お箸みたいなスティックでお団子状にまとめたり。テクがない分、写真のようなヘアアクセサリーで誤魔化すのがミソ(笑)。ゴムを使う場合は、小さいチャームがついていたりするもので遊んでみる。ピンも、ラインストーンがついてたりして、ちょこっとキラキラしたのを使うのがポイント。ソニプラなんかに行くと可愛いのがたくさん売ってて、ついつい買っちゃう。
あとは帽子だろうか。我が相方が、総所有数なんと約70個という帽子マニアなので、すっかり感化されてしまい、筆者も気がつけば帽子道まっしぐら。何でもないジーンズにTシャツというシンプルな服装でも、たちどころに通の装いに変えてくれる魔法の小道具である。凝ったデザインのものを被っていると、何となくデザイナーとかアーティストらしく見えるのも自己紹介のときに実は便利(笑)。
帽子の下にさらにバンダナを被って、W使いしてみたりというアレンジも可能だし、髪の毛にクセがついてたりするような時も、とりあえずかぶっとけば目立たないので重宝する。LLクールJが昔被ってたカンゴールのクロシェから、ハンチング帽、中折れ帽、ワーク風キャップ、キャスケットなどなど各種集めている。素材も、春夏ならストローや布、秋冬ならツイードやファーなど、いろいろと選べるのがまた楽しい。写真左では、筆者のコレクションの中でも、特にお気に入りのモノたちを集めてみた。(写真が間に合わなかったけれど、つい昨日、冬仕様のフランネル生地のハンチング帽を新しく買ってしまった。コレクションする、という行為そのものに弱いオタぶりをまたしても発揮…止められんのです)
それから、これは相方としばしば論争になるのだが、何かやらかしてみたい気分なときのコーンロウ。過去ログ『痒みとの闘い@コーンロウ体験記』は
こちらから読めます。で、なんで論争になるのかというと、相方曰く『あれはアフリカの部族の伝統的な髪型である。アジア人のあんたがやる意味がわからない』、対する筆者の意見は『あれは今やヘアアレンジの一種である。せっかくロングヘアなんだからイメチェンしたっていーじゃん』。
確かに、ブラックで例えばドレッドロックスにしている場合、彼等特有の縮れた毛でこそ実現可能なスタイルということはもちろんだが、特にカリビアンだと、ラスタなどアフリカ回帰指向に始まり、何か信条があってやっている人が多い。そしてアジア人や白人がアフロやドレッドロックスにする場合、持って生まれた直毛を一旦、薬品で徹底的に破壊し変形する(やめたくなっても、普通のウェーブパーマと違い、元には戻せないので坊主にするしかないらしい)ので、自己のルーツにコンシャスなタイプの黒人から見た場合、そういった行動を『自己否定』あるいは『(非黒人に生まれたことに対する)コンプレックスの表出』と取られても、ある意味、致し方無かろうと思う。黒人の人工的ストレートヘアもまたしかり、コンシャス派からは『白人化』と蔑まれる傾向にあるのだ。(ただ、白人の価値観で良しとされる外見にしないと、たとえ高学歴であっても、黒人は未だに大企業での就労や、地位のあるポジションを勤めることが不可能という、複雑な社会背景がアメリカには存在している。男性の場合、うちの相方もそうだが、単に短髪にしていれば問題ないが、女性の場合は、ストレートにでもするより選択肢がないのが実情。典型的白人ルックのライス国務長官などはその代表例。そういう現実がより、コンシャス派の黒人たちの不満を増幅するわけなのだが。)
そういった流れから、非黒人すなわち非アフリカ人によるファッションとしてのコーンロウ頭や、エリカ風ターバン巻きなどが、コンシャス指向の黒人達からは否定的に捉えられているというのも理解はできる。少なくとも彼等が、お〜俺達の仲間だ〜君も黒人だ〜と喜んで受け入れているのは聞いた事がない。悲しい歴史を背負っているだけに、自分達の文化を他人種に『盗まれる』『取り上げられる』といった意識に非常に敏感なのである。これは個人的な経験からなのだが、むしろ、外見がまんまアジア人、白人だとしても、彼等、黒人達の音楽とか料理、マナーなどの文化に精通している、理解があるというほうが余程、尊敬される。誇り高い彼等は(黒人に限らず、筆者に言わせると特にトリニダッド人が、なのだが)上辺だけはそれらしい、という態度を一番嫌うのだ。コンピュータ用語を使うなら、ハードよりソフトといったところだ。
話をコーンロウに戻すと… 筆者個人の意見としては、コーンロウというものは編み込みに過ぎないのだから、あくまで一時的なヘアセットであって、ドレッドロックスやアフロのような毛質の根本的『改造』とは意味合いが異なってくるだろうし、さらには確固たる政治的・宗教的あるいは精神的思想に基づいて施さねばならんという例もこれまで聞いたことがない。今日、あの編み込み技術はもはや一種の伝統工芸として、敬意を払えばそれで良いのではないかと思うのだが、いかがだろうか。アフリカ移民にとってはビジネスにもなって、自分たちの文化の素晴らしさも広められていいじゃん?などと単純に思うわけなのだが。実際、筆者がコーンロウに挑戦したとき、NYの街では人種問わず評判良かったんですけどねえ。道歩いてていろんな人に褒められたな。筆者に似合っていたからというよりむしろ、皆、その緻密な技術に純粋に感嘆していたのではなかろうか。例えば、アフリカ系の人が日本の着物を着てみたいと言ったら、筆者、喜んで協力しますけどね。逆は何でダメ?ってちょっと思う(まあそれが、奴隷にされたという不幸な歴史を持たない国、外国の技術を踏み台にして(爆)驚異的発展を遂げた国の人間の普通な発想であろう。)
どうでしょう、アイデンティティと髪型の関係。様々に意見が分かれそうなところだが…NYのような特殊な場所、ありとあらゆる人々が世界中から集ってくる街に長年いると、このように何事につけても多角的に捉えて、自分の立ち位置を分析せざるを得ないのだけれど。筆者自身は中立の立場というか、基本的に外見というものはその人のパーソナリティとか生業とつり合っていれば、ドレッドロックスでも坊主頭でも赤い髪でも全く構わないと思うのだが。結局は、良い意味で己の『身の程』を知っている人間というのが一番イケてると思うのだ。世の中で『身の程知らず』ほどカッコ悪いものはない。江戸っ子に言わせてもらうと粋でない。いわゆる野暮、検討違い、勘違いというやつである。また、他人からちゃんとリスペクトされたいのか、それとも、軽くあしらわれても構わないのか、といった点でも、外見のチョイスというものは違ってくるだろう。
■Q03:髪型のお手本にしている有名人は誰ですか
まだ青かった頃は、スーパーモデルの誰それっぽくとか妄想に近い事を言っていたものだが(遠い目)、最近はファッションにしても、『誰々みたいにしたい』というのが特にない。ただ、帽子好きとしてかぶり方が参考になるのは、ラッパーのコモンやミッシー、J.LOやアリーシャ・キーズなどだろうか。
■Q04:次に挑戦したい髪型は何ですか
5年ぐらいずっとストレートなので、久しぶりにスパイラルとかかけてみたいんだけど、NYにいると美容院行くのがおっくうで、保てる自信なし…パーマが根元から伸びてきて、そこだけストレートになってるってみっともないもんな〜。日本人経営の美容院はそれなりにあるけれど、なかなか相性の合うスタイリストが見つからないし、チップ払わなきゃいけないから高いし。あんまりボンバーヘアにしちゃうと、今度は好きな帽子がはまらなくなっちゃうしなあ。今の髪型で不満は特にないし、結局ストレートのままかな〜。もし何か変えるとしたら、前髪をちょっと作ってみるとか、どこまで長く伸ばせるか限界に挑戦!とか、お金があんまりかからなそう(笑)なのをやってみようかと。あとはサロンで髪型は変えず、集中トリートメントのみを受けて髪質改善に努めるとか。
■Q05:一年に何回ぐらい美容院に行きますか
だいたい3か月か半年に一度ぐらいだから、3回ぐらい。
■Q06:行きつけの美容院・美容師さんはいますか
モッズヘア某店の店長に絶対の信頼を置いていて、日本に帰ってきたら必ずこの方にお願いしている。腕は素晴らしいのに、あくまで職人気質というか、美容師にありがちなカリスマぶってる派手なところがなく、飾らないところが良い方。実力のある人の典型ですな。その前は、ずっと吉祥寺のSHIMAに通ってた。若くてお洒落なスタッフが多くて、皆、毎月の給料を全額洋服に注ぎ込んでる感じ。まるでファッションショーのようで、パーマかけてる最中とかずっと眺めてても飽きなかったもんだ。
■Q07:今までのヘアの失敗談を教えてください
そりゃもう。技のデパートaka舞の海ならぬ髪型のデパートとして鳴らしましたから。『漆黒おかっぱ頭』から『なんちゃってドレッド』まで何でもやってきましたとも。中でもやはり出色だったのは、『タンタンの冒険』のタンタン君ヘア(左図参照)。嘘みたいだけどマジ。ほとんど坊主頭のベリーショートで、前髪だけ残して立ててたのだが、女子トイレでは度々、男と思われた模様。もしあの頭をNYでやったら、レズビアン達にはかなり受けそうであるが。当時、筆者は日本の某美大に在籍しており、モダンジャズに傾倒、吉祥寺のディスクユニオンでおっさん達に混じってレコ掘りをし、ロンドンの前衛デザイナー服に凝っていた時期。人に歴史あり。ショートはもう、二度とやらないさ…懲り懲りッス。
<メイク編につづく>