かつて、トリニダード・カーニバルを代表するマスバンドのひとつだったPOISONが一昨年に解散して以来、いくつかのバンドが枝分かれして誕生しました。解散前に独立したとはいえ、あのTRIBEも、それからIsland People Masの一部もかつてはPOISONの一セクションだったほど、大きな影響力を持っていた巨大バンドでした。そんなPOISONの言わば分家で、来年で2年目のまだ新しいバンド、Dream Teamの2008年向けコスチュームが先月末に発表されています。
今年もまた、お騒がせバンドのIPを巡ってレジストレーションのトラブルが絶えないので、現在のところそちらに話題を持って行かれている感もありますが、本日ご紹介するDream Teamも、華やかで美しいコスチュームを揃えています。以下でバンドローンチの写真がUPされています:
Dream Team Band Launch (Triniscene.com)
Dream Team TnT 2K8 Launch (Torono-lime.com)
Bejeweled Band Launch (trinicrew.com)
(クリックで拡大します)
'08年のDream Teamのバンドテーマは『Bejeweled』、宝石で飾られた、といった意味になりますが、宝石そのものがテーマというわけではなく、トリニダード・トバゴという国のバラエティに富んだ美しさ(音楽、自然など)を宝石の輝きになぞらえたというものです。全部で12セクションの展開です。
コスチュームのほうは、典型的なビキニ&ビーズのスタイルから大きく脱却することはなく、クリエイティブかどうかは二の次といった印象です。例えばIPのように賛否両論を巻き起こす衝撃もなく、無難に『わ〜キレイねー』といった感じです。一部で、左右アシンメトリーなものなどカットにこだわったデザインも見られますが、うーん、全体の印象としては、筆者はあくまで写真で見た事があるだけですが、数年前のPOISONそのままに時間が止まってしまったかのようにも…
この手のコスチュームは昨今、トロントのカリバナやマイアミ等、海外のカーニバルでもよく見かけますから、流行を常にリードする立場のトリニダード本国のバンドにしては、少々物足りない印象もあります。どのセクションが何をイメージしているのかわかりづらいところもあります。
また、ローンチングでトラブルがあったようで、今回は12セクションのうち、約半分ぐらいしか発表できなかったようです。交通渋滞(!)でモデルさん達の到着が間に合わず、開始時間を遅らせただけでなく、結局、ローンチの規模を縮小して何とか取り繕ったというものだったようです。明らかに準備不足だったという指摘も。バンドにとっては、ちょっと幸先の悪いスタートになってしまいました。
とは言え、披露されたコスチュームに限って言えば、鮮やかで女性らしい色使いが魅力的なのと、かなり手の込んだビーズやスパンコール細工が施されているのがわかりますし、また羽飾りもふんだんにあしらわれています。これぞビキニ&ビーズ&フェザー!な持ち味は全開で、素直に可愛いと思える出来です。ヘッドピースが大きめでゴージャスなのは、如何にもカーニバルという感じでいいですね。ワイヤー使いのクラウン状のものなども、昨年のIPに似たのがありましたが、姫っぽいデザインでなかなかです。
他のバンドでは例えばHartsも、毎年決してデザイン上の冒険をしない同様の路線を守っていますが、かなりの需要があるところを見る限り、そういうバンドもなくてはならないわけですね。話題ばかりが先行してレジストレーションで争奪戦になるといったストレスもなく、そういった意味での定番感、安心感もあります。おそらく、レジストレーション開始と共に即売り切れということはないタイプのバンドですから、カーニバルが始まってからでも現地のマスキャンプで試着ができると思いますので、各自にぴったりのサイズが選べそうなのも強みでしょう。
一方で、じつはコスチューム以上に評価したいのが、彼等のオールインクルーシヴ・バンドとしてのサービス内容だったりします。あくまで『予定』とはいえ、公式サイトの告知を見る限りかなり充実しています。一見した感じではTRIBE並みのサービスです。近年、各マスバンドではコスチューム以外のサービス(トラブル時の対応などのカスタマーサービス含む)を如何に充実させるかが、集客のための鍵となっています。Dream Teamでも食べ物飲み物、セキュリティ、移動トイレはもちろん、おまけでカーニバルの2日間のロードでの様子を収録したDVDまでつけてくれるようです。その上で、価格も『お求めやすく』とあるのが期待できます。これは見逃せない点でしょう。
外国から訪れるマスカレーダーの場合は特に、カーニバルに行くだけでも高い飛行機代に宿泊代とかなりの出費を強いられますから、TRIBEやIPのように、プレイマスのためだけに500米ドル相当を支払わなければならないというのはかなり厳しい状況と言えます。Dream Teamがどのぐらいの価格帯を提示してくるのか、公式サイトの本格的な稼働を楽しみにしたいところです。
9月10日よりオンラインでのレジストレーションがスタート、現地のマスキャンプは17日にオープンとのことです。カーニバル当日のロードでのサービスには定評があるバンドですので、ぜひローンチングでの失敗を取り戻してほしいものです。
Dream Team Offcial Website